真紅の世界
抱きしめながら思ったことは、ただ一つ。
クリフにはああ言われたけれど、“ユリウス”の名前を呼ぶのは本当に最後の手段にしよう、ということ。
自分の限界まで頑張って、頑張って。
それでこれ以上は無理だと自分の限界だと感じたら、最後に助けを求めてみようと。
もしかしたら、私の力でどうにかできることもあるかもしれない。
ただの女子高生にでもできることがあるかもしれないから。
今は、“シンク”と“レティ”がいるから頑張れるから。
“ユリウス”は最後の光だ。
だからそれまでは、自分が今いるこの世界で、精一杯生きてみよう。
「シンク、私頑張るからね」
何度目かわからない心からの決心に、シンクはキュイっと鳴いて応えてくれた。