真紅の世界


それに苦笑いしか返せない。


魔法攻撃された時には無意識に使えるんだよ、なんて言えないから。



「でも、文字はある程度読めるようになったよ?」


そう言って話を少しでも反らそうとするけれど、やっぱりレティは子供特有のひとつの疑問が解決されないと気が済まない、というものを持っているらしい。
簡単に騙されてはくれない。


「でも初めてサラに会った日、あの時は確かに魔法を使えたのに不思議ね」


と話題は文字に移ることなく、魔法に戻されてしまう。

私の頭の中は、レティに対する答えよりも、深夜に行われる実験のことについて悟られるようなボロを出さないようにする、ということで頭がいっぱいだ。そのせいで、胃までキリキリと痛んでくる始末。


「もう一度やってみて?」


促されるまま、何度もやった行為をもう一度繰り返す。

手のひらを上に向けて、頭の中に火を思い浮かべる。
……けれど、やっぱりいくら待てども手のひらに火は浮かばないし、何も変化がない。


思わず溜息をついてしまった私の手のひらをしげしげと覗き込んだレティは、整った眉をしかめてうーんとかわいらしい仕草で首を傾げた。
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