真紅の世界
……でも、それってつまり。
何度冷静に考えてみても、考え付く結論は最悪のことで。
そしてそれは、私の思い違いなんかじゃなくて、今から私の身に起こることで間違いはないんだろう。
「大丈夫だ。 実験終了後はいつもと同じようにしろと情けをかけてくださった」
「っ、」
なにが。
何が大丈夫だというのか。
額を麻酔もなにもなしに切り開かれて、その痛みを感じながら調べられてることが。痛みに意識を失っても、目を覚ました時には痛みも傷もないから大丈夫だと、それが本当に“大丈夫”だというのか。
それを想像しただけで、身体中の血液が一気に冷やされたような感覚に陥っているというのに。
アレンに命じられて、その通りにしようとしているだけのウルに当たるのは、間違いなのかもしれない。それでも、やり場のない怒りと恐怖が胸の内で渦巻く。