惑溺
肩に積もった雪が、ガードレールの下に残るいくつもの靴跡が、彼がここにいた時間の長さを物語る。
「リョウは、いつも嘘ばっかり……」
小さな雪の粒が私の睫毛の上にふわりと落ちた。
リョウは立ち尽くす私にゆっくりと近づいて、まっすぐに私を見た。
「会いたかった」
睫毛についた雪の粒が溶けて、視界を滲ませる。
「もう一度会いたくて、わざわざ教員住宅の場所まで調べて待ってた」
そう言って手を伸ばそうとしたリョウは、私の首筋を見て手を止めた。