惑溺

「あの時。
自分が身を引いていたら、由佳とリョウくんはなんの障害もなく幸せになってたんじゃないかって。
ふたりの邪魔をしといて自分だけ先に結婚しちゃったの、後ろめたいみたい」

「そんなの!聡史が気にする事ないのに……」

「アタシもそう思うんだけどねー。
でも、その馬鹿みたいに優しい所がいいんだけどさ」


そう言って珍しくのろけた博美がとっても可愛く見えた。



「だから。
由佳とリョウくんが上手くいったらきっと聡史は救われる。
それに由佳に彼氏がいないと、アタシも遠慮しちゃってなかなか旦那ののろけ話できないしさぁ」

博美らしいその言い方に、思わず頬が緩んだ。
いつだって私を見守って傍にいてくれる大好きな友達。

「ありがとう、博美」

そう言うと、博美は嬉しそうににっこりと笑った。
< 378 / 507 >

この作品をシェア

pagetop