惑溺

お店を出て、街灯の下のガードレールに腰を下ろした。

頭上の暖かい色の街灯が、足元に柔らかい影を作る。
雪の上にうつる影は青くて綺麗だった。



ふと

その私の小さな影に大きな影が重なった。
降り続く雪から私を庇うように、優しく立つ人がいた。


「待った?」

「……全然」

「俺は待った」


そう言いながら、長い綺麗な指がゆっくりと私の髪をかきあげる。




「三年も待った」




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