惑溺


「私は、リョウの部屋に行きたい、けど……」

「けど?」

私が何を言うのか観察するように、リョウの黒い瞳が私をみつめる。

「部屋で女の子が待ってたりしないよね……?」

恐る恐る言うと、リョウは大きなため息をついた。


「いくらなんでも他に女がいたら鍵渡したりしねぇよ」


どれだけ信用ないんだよ。
と、少し怒ったように私を睨んだ。


「自分こそ、どうなんだよ?
博美さんからいっぱい男紹介してもらったんだろ」

リョウはそう言いながら私の左手を持ち上げて、手を繋いだまま手の甲にキスをした。
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