惑溺
「ちょ……!」
突然の事に驚いて身体を強張らせた私に、リョウは構いもせずキスを続ける。
僅かに開いた唇の隙間から、暖かく湿った舌が入ってくる。
「んん……ッ」
その舌が私の上顎をなぞった途端、身体の力が抜けた。
不安定なバーのスツールの上でバランスを崩し倒れそうになった私の身体を、リョウは片手で引き寄せるように支えて
「このくらいで倒れるなよ」
と意地悪に笑った。
このぐらいで、なんて。
こんなキスをしておいて、そんな意地悪な事言わないでよ。
一気に熱くなる頬。
恥ずかしくて顔をそらす私を、まるで子供でも抱き上げるみたいに軽々と持ち上げバーカウンターの上に座らせた。