惑溺

「なんか松田さんって、すごいモテそうですよね」

「モテないよ別に」

「本当?じゃあ、彼氏いないんだ?」

「いや……」

「指輪とかしてないから、彼氏いないのかなーって前から気になってたんすけど。
やっぱりいないんだ!
へぇ、なんか意外ー!
松田さんって男の人が寄ってきそうな雰囲気なのに」


いや、彼氏はいるって。

そう言おうとする私の言葉を無視して、矢野くんはどんどん話を進めていってしまう。

アルコールで頭の回転が遅くなった私には、もう言葉を追いかけるだけで精いっぱいで。
口を挟むのも面倒くさくなって、頬杖をついてため息をついた。


「さっきから思ってたんですけど、今日ちょっと雰囲気違いますよね。
化粧のせいかな?」

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