キズナ~私たちを繋ぐもの~

小さなことから、とても大事にされているのが分かるのが今は辛い。

思えば、不思議なものだ。

兄にも司にも、こんなに大切にされているのに、
どうして私は今、幸せじゃないんだろう。

それとも、幸せだという事に気付けていないだけなんだろうか。

それとも、分に合わない幸せをもらっているから、辛いように感じるだけなんだろうか。

今より不幸になる事は、多分簡単だ。
今より幸福になる事は、おそらく難しい。

動いたら向かう先は、きっと不幸になる道。
分かっているからこんな風に迷うのだろうか。

あんなに決意を固めて家をでてきたのに、今司の声を聞くと、心が揺らいでくるなんて。


「綾乃!」

「……司」

「待ったか? 悪いな」

「ううん」

「じゃあ、行こう」


司は昨日の話なんか忘れたように、私の手を引いて外へと連れ出した。

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