キズナ~私たちを繋ぐもの~
路駐していた車の助手席を開けて、仰々しく手で招いてくれる。
「どうぞ、お姫様」
「なあに? 気持ち悪いなぁ」
不思議と気分はほぐれて、心が穏やかになってくる。
これが、私が司に頼ってしまう最大の原因なんだろう。
司は、はぐらかすのが上手なんだ。
遊園地まで向かう車の中で、私はいつ昨日の話を蒸し返そうかと悩んでいた。
けれども司が、次から次へと違う話題を話してくるので、中々本題には入れない。
そうこうしているうちに遊園地について、司は私をジェットコースターやスピード系の乗り物に連れまわした。
風が寒いから自然に司にひっついて、お腹の底から声を出すからすごくすっきりする。
ものすごく居心地がよくて温かい場所。
司の傍は、そんなところだ。
兄への気持ちさえなければ、この人ほど一緒に居たいと思う人はいない。
だけど、髪をかき上げるたびに、ピアスがシャリンと音をたてて、私に『忘れるな』と訴えかける。
居心地がいいからといって、これ以上甘えていてはいけない。
司の未来を台無しにする資格なんて、私にはない。