キズナ~私たちを繋ぐもの~


「あのさ」


司の声が、耳元にゆっくりと響く。
耳たぶに触れる唇は、私の体を震わせた。


「先に籍を入れたいんだ」

「え?」

「婚姻届、取ってきてあるんだよ」


私は振りむいて彼の顔が見たかった。
だけど、彼は私の肩に顔を押し付けるようにしたので、その表情を垣間見ることさえできない。

言っている意味が分からなかった。
だって今日、ご両親と会ったばかりで、確かに結婚には同意してくれていたけど、そんな急に籍を入れたいだなんて。


「綾乃」


彼の唇が、私の肩をつまむように口づける。
その仕草に体は自然に反応した。
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