キズナ~私たちを繋ぐもの~
『綾乃……。今外にいるのか?』
「え? うん」
『踏切の音がする』
「ちょっと出てるの」
そういえば、いつの間にか駅に電車が入ってきている。
戻るか?
と優しく問いかけられているみたい。
黙って見ているうちに、電車は発車のアナウンスを告げ、その扉を閉じた。
『もう一度会えないか?』
彼の声に、私への未練がある事が少し嬉しいなんて、おかしい。
ねぇ。
私とあなた、こんな結果になってしまったけど。
あなたと一緒に過ごした日々は、私の力になってたよ。
誰かに想われることが、自分を支える力になるってこと、あなたと出会って初めて知った。
甘えてばかりの自分を駄目だって思うのと同時に、誰かに必要とされる事が嬉しくてたまらなかった。