キズナ~私たちを繋ぐもの~


「ううん、会えない。今まで、ありがとうね」

『綾乃、幸せにならなきゃ駄目だ。なんで逃げようとするんだよ』

「さよなら。……ありがとう」


電話を切って、こみ上げてくる涙を呑みこんだ。

大好きだった。

多分、お兄ちゃんの次に。

……ううん。
お兄ちゃんとは、別の次元で好きだったのかも知れない。


私ね。
逃げてるんじゃないの。

一度、しっかり自分の足で立ってみたいの。
ずっと誰かに頼るばかりだった自分を、変えてみたいのよ。

いつか、もう一度会えるかな。
もし会えたなら、その時、それを自信を持って言えるようになりたい。

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