キズナ~私たちを繋ぐもの~

 私は息を吐いて、駅に隣接しているコーヒーショップに入った。

そこで、時計が9時半を差すのを待ち、不動産に電話を入れる。

『ああ、お待ちしてましたよ』

なんて、調子のいい声に促されながら、新しいアパートへと向かう。


「お荷物はそれだけ?」


不動産のおじさんは、不思議そうに私を見たけど、微笑で返した。


「ええ。これからいろいろ揃えるんです」

「そう。ええとじゃあ、これが鍵で、契約は以前お話した通り。お家賃は銀行振り込みでお願いします」

「はい。よろしくお願いします」


おじさんが、出て行った後の部屋をくるりと眺める。

白い壁の小さな部屋。

こだわった条件は2階以上であるという事だけだ。

今までの貯金と来月入る退職金だけが今現在の財産だから、早く仕事も見つけなきゃいけない。

でもまずは、


「冷蔵庫と洗濯機」


この二つは重要だ。
すぐにでも電気屋さんに見に行かないと。

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