キズナ~私たちを繋ぐもの~
その時、声が聞こえた。
「綾乃」
それが作り出した空気の振動に、身震いがした。
だってその声は、
忘れるはずがない懐かしいその声は、
この世で一番大切で、
この世で一番長く一緒にいた人の声だ。
「お、にいちゃん」
近づいてくる人影が、徐々に見慣れた形を浮かび上がらせる。
高い背、広い肩。
少し疲れのみえる歩き方だった。
だけど、私を見つめるその表情は変わらない。
懐かしい兄の微笑み。
「お兄ちゃん」
「綾乃。久しぶり」
兄があまりにも穏やかに笑うから、なんて言っていいか分からない。
私が口をパクパクさせていると、兄は困ったような表情をした。