キズナ~私たちを繋ぐもの~


「どうぞ」


兄を招き入れて、部屋の明かりをつける。
小さくてこじんまりした部屋には、大したものは置いていない。

最低限の家電と、パイプハンガーとベッドだけ。


「その辺に座って、お茶でも入れるから」

「いいよ。話がしたいんだ。とりあえずその袋の中身だけしまえよ」


兄に促されて、買ってきた野菜や肉を冷蔵庫にしまう。
ペットボトルのお茶を出して見せたけど、兄は首を横に振った。


「座れよ」

「うん」


この部屋に兄がいるのが不思議だ。
私以外の誰も入った事が無い部屋だから、誰かがいるという光景を初めて見た。


「この間、墓参りに来てくれたんだろう」

「知ってたの?」

「ああ。俺も月曜は参りに行けないから、今日行ったんだ。真新しい花が生けてあったから。お前かなと思って」

「そう。うん、当たり」


だから、ここに来たの?
でもどうしてここが分かったんだろう。

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