キズナ~私たちを繋ぐもの~
「声をかけようかと思ったけど。お前が自分から出て行った事を考えれば、それもためらわれて。
……ストーカーみたいだけど、時々お前を見に来てた。ずっと頑張ってたな。仕事も忙しそうだし」
「見てたの?」
「ああ。だから俺にとってはそんなに久しぶりでもない。……驚いたか?」
「うん」
そんなにずっと見ていてくれたなんて、全然気づかなかった。
「恋人は、出来たのか?」
兄の言葉に、私は小さく首を振った。
そして、恐る恐る、一番気になっていた事を聞いてみる。
「お兄ちゃん、……紗彩さんは?」
兄は私から視線をそらさないままゆっくり口を開く。
「結婚したよ」
その口がそう動くのを、私はじっと見ていた。
覚悟していたはずなのに、胸の奥がジンジンと痛んで、途端に息苦しくなる。