キズナ~私たちを繋ぐもの~
兄に幸せになって欲しくて、私は家を出たはずなのに。
現実を突きつけられるとこんなに辛い。
ダメだ。
どうしてこんなに情けないの。
「先月かな」
「そう、……おめでとう」
そう言葉にするのがやっとだった。
私の目が自然に潤んでいくのを兄が見ている。
嫌だ。こんなの。
未練があるのは私だけで、兄はこんなに冷静に私の事を見ているのに。
私が涙を堪えて俯くと、兄は目を細めて、小さく笑って言った。
「……今は、葉山紗彩になってる」
「え?」
続けて出てきた言葉は、意外なものだった。
葉山?
西崎じゃなくて?
私は呆けたように口を開けた。