キズナ~私たちを繋ぐもの~


「紗彩とは、母さんが死ぬ少し前に別れたんだ。ちょっと色々あってな。説明したら長いんだけど、俺の会社の同僚と結婚した」

「だって、一度サユちゃんを連れてきてたよね? あれはどうして? 私、サユちゃんと会ったんだよ。家の前で」


今度は兄の方が驚いた顔をした。

私の方へ手をのばし、ゆっくりと頬を触る。


「あれは、紗彩が母さんが死んだのを知って、線香をあげに来てくれただけだったんだけど。……だから、いなくなったのか?」

「え?」

「俺の前から」


胸が詰まる。
それだけが理由じゃないけど、それも理由の一つだから。


「それだけじゃない。……けど、お兄ちゃんは紗彩さんと結婚するんだと思ってた」

「アヤ」

「だから、私はいない方がいいんだって」

「……なんで司くんと別れたんだ?」

「それは」


兄を忘れるための恋愛から、自由になりたかったから。
自分の足で立てる自分になりたかったから。

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