キズナ~私たちを繋ぐもの~
「俺の妹は、いつもどこか不安そうで、甘えた目をした女の子だ。
……そんな子は、もう、どこにもいないだろ?
ここにいるのは、綾乃っていう名前の一人の大人の女だ」
そのまま、兄の手が伸びて私の肩を掴み、あっという間に私を抱きしめた。
懐かしい匂いに包まれて、言いようのない感情が胸を満たす。
言葉を挟む間もなく、唇が合わさる。
少しかさついた兄の唇が2度3度と私の上に落ちたあと、兄は私を離して顔を覗き込んだ。
こみ上げてきた涙が、なんとか瞳の中でこぼれないようにと踏ん張っているのが見られてしまう。
「アヤがいなくなったのは、俺があの夜、拒絶してしまったからだと思ってた。だから迎えに来るまでこんなにかかってしまった」
「……」
「自分の気持ち見つめ直して整理して。紗彩との事もきちんと清算して。親父と母さんの墓に、綾乃を迎えに行くとそう告げて。
……それが出来たのがようやく今日だ。それまでに、お前の気持ちが変わってたらどうしようかと、密かに心配してた」
兄は目を伏せ、そして続けた。