キズナ~私たちを繋ぐもの~



 運転している間も、頭から純白のウエディングドレスが離れない。

直前に変わった赤信号に舌打ちをしながら、なんとか他の事を考える。

ドレスじゃない、着物だ。
考えなきゃいけない事は。

さすがに買ってやるのは無理だから、貸衣装を探してみよう。

綾乃には何色がいいだろう。
成人式は赤とかピンクか?

案外青も似合うかも知れない。
イヤでもやはり、折角の20歳なんだから、明るい色の方がいいか。

ピンクだ。やっぱりピンクにしよう。


色が決まった頃、車は家に到着する。

車を降りて玄関を開けると、台所から綾乃が顔を出す。


「お帰りなさい。お兄ちゃん。飲んでくるってメール、今日の事じゃなかったの?」

「いや、途中で調子が悪くなって帰ってきたんだ」

「え? 大丈夫?」


慌てて走り寄ってくる綾乃を見ながら、脳内で振り袖を当ててみる。

うん。ピンクが似合う。
女の子らしくて綾乃っぽい。

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