キズナ~私たちを繋ぐもの~

綾乃は俺に笑顔を見せて、やかんをコンロにかける。


「お兄ちゃん、無理しないでね」

「え?」

「たまに言うじゃない。お腹痛いって。ちゃんと健康診断とか受けてね」

「ああ。大丈夫だよ。心配されるほどではないんだ」

「本当?」


綾乃の声に叱責の色が混じる。
ふと見れば予想より厳しい表情をしていた。


「お兄ちゃんが倒れたら、私どうすればいいの」

「アヤ」

「お母さんだって入院してるのに……。一人になったら、心細いよ」

「……バカだな。俺は大丈夫だよ、健康には自信があるって」

「そうやって、平気な顔してて倒れる人って結構いるんだから……」


綾乃は俯いたまま、お茶の葉を急須に入れる。

その横顔はとても細く頼りなげに見えた。

普段綾乃はそう言う事を言わないから尚更なんだろうか。
なんだか心細そうで、抱きしめたくなる。

俺は無意識に、綾乃の肩まで伸びた髪に手を伸ばした。

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