弟矢 ―四神剣伝説―
迷いは剣を鈍らせる。

長瀬の持ち味である豪胆さを発揮する間もなく、とうとう、正三の『二の剣』が長瀬の腕を斬り裂いた。切断こそされなかったものの、かなりの深手だ。

そうなって初めて、新蔵は事の重大さを理解した。


「織田さんっ!」


まともに斬りかかったのでは勝負にならない。

正三が膝をついた長瀬に剣を振り上げた瞬間、新蔵は体当たりをした。体格で優る新蔵は正三に圧し掛かり、剣を取り上げようとする。

だが、


「いかん、新蔵。抜き身の『青龍』に触れるな! お前も鬼になるぞ!」


長瀬の言葉に新蔵はビクッとして躊躇する。

その隙を突いて、正三は新蔵を蹴り飛ばした。


ようやく駆けつけた乙矢は長瀬を助け起こし、少しでも正三から離した。


「どうすんだよ。倒せねえ、触れねえじゃ……奴を止めらんねぇ」

「斬る、しかあるまい」

「……!」


< 140 / 484 >

この作品をシェア

pagetop