弟矢 ―四神剣伝説―
武藤の目にも弓月の限界が映った。

彼は口元を歪ませると、挑発的な笑みを浮かべて言う。


「ほう……父親のように、か?」


その言葉に乙矢は驚くが、弓月らは顔を引き攣らせた。

見る見るうちに、彼女の長所であるはずの冷静さは姿を隠し、頬は怒りの余り赤く染まる。


「貴っ様ぁ!」

「一か八かで神剣を抜き、鬼となって敵も味方も皆殺しにした父親を真似るか?」

「父上を愚弄するなっ! 『青龍』は父上を選ばなかった。それだけだっ!」

「勇者になり損なった、哀れな男だ。その手で倅を殺し、神剣も奪われ……鬼として首を落とされたのであったな。所詮、負け犬に過ぎんわ」


武藤の勝ち誇ったような笑い声に弓月の怒りは頂点を超え、逆に蒼白になる。そして、ついに、彼女は背中の『青龍二の剣』に手を掛けた!


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