弟矢 ―四神剣伝説―
「なるほど、確かにこうなった以上、最早、後戻りはできんな。一矢殿で押し切るしかない、か」

「効果はあるだろうが……劇薬にもなりかねませぬぞ、凪先生」


長瀬や正三はわかっているのか、そのまま話を進めている。

会話に加わっていないので、弓月にもわからないのだ、と思ったが……


「しかし、凪先生、それでは乙矢殿を危険に巻き込むことになります」

「え?」

「姫様、それは本人の希望なのですから、叶えてやればよろしいでしょう」

「えぇ!?」


正三の言葉に乙矢は更なる疑問の声を上げた。このままでは、乙矢と新蔵のわからぬうちに話は進んで行ってしまう。


「あの……織田さん、俺にも教えていただけませんか?」


おずおずと、新蔵が一番聞きやすそうな正三に尋ねてみた。しかし、その答えをくれたのは凪だった。


< 63 / 484 >

この作品をシェア

pagetop