吐息が愛を教えてくれました
そして、今度は私の左耳に何かを囁いた。
「え……聞こえないよ、右耳に言ってよ」
私の左耳が聞こえないことは、知っているはずなのに、どうしてわざわざ左耳に囁くんだろう?
そんな私の疑問に答える様子もない千早は、再び左耳に何かを呟いている。
耳にかかる吐息と、時々ふれる唇に意識を集中させても、何を囁いているのかわからない。
訳が分からなくて、そっと顔を上げ、千早と目を合わせた。
嬉しそうに笑い、ほんの少し顔が赤い。
楽しげな千早は、私の髪の毛を梳きながら、再び唇にキスを落とした。
あっという間の出来事に、反応するタイミングすらなくて。じっと見つめ返すだけ。
私の顔もきっと、赤いはずだ。
すると、千早はさらに照れるようなことを言った。
「右耳に聞こえるのは現実の音や言葉だ。
そして、左耳に俺が囁く言葉は全て実里への愛情だ。
たとえ俺が何を言ってるのかわからなくても、俺が愛を囁いてるって考えて、喜べばいい」