白いツバサ
「ア、アンタは……!!」
驚愕するボルケーノ。
思わず緩んだ腕からパイロの頭がすり抜けて、ぬかるんだ大地に落ちる。
「う……ぐ……」
その衝撃で、パイロはゆっくり目を開けた。
その瞳に、男の姿が映る。
「テ、テメェ……よくもやってくれたな!」
「ちょっと、アンタ! おやめよ!」
「ぶび!」
立ち上がろうとするパイロの頭を、ボルケーノは上から押し付ける。
パイロは、再びぬかるんだ大地に顔をこすりつけ、またもや変な声を漏らした。
「お、お前まで何するんだ!」
「バ、バカ! 相手の顔を良く見てごらんよ!」
そう言って、ボルケーノはパイロの顔を男に向ける。
「顔だァ? 何を言って……」
それ以上言葉を続けることが出来なかった。
思わず飛び起きるパイロ。
「な、なんで……!?」
その目は大きく見開かれている。
そして、目と同じように大きく開かれた口から、驚きの言葉が飛び出した。
「獅子王アースが、なんでこんなところに!?」
パイロの叫びは反響をし、幾重にも響き渡っていった。
