スロウ・メロウ


「オラ行け」


トンッと背中を押す。押してやれば少しだけよろめいたあおい。


しかし振り向かずに、真っ直ぐ前を向いたまま


「スーパーあおい、行ってきます!」


敬礼のポーズをとってパタパタと降りていくあおいの姿を見送った。


「だからスーパーってなんなんだっつの……」



バタンと大きなドアを閉めて、空を見る。

いつだか、あおいを空みたいだと言ったことがあった。


晴れたり、雨だったり、曇ったり…忙しい表情の移り変わりを見るのが好きだった。


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