蜜色チェーン―キミと一緒に―
それから急いで準備をして、愛美に今日休むってメールを入れて。
迎えにきてくれた拓海くんの車の中で、上司に休むって連絡を入れた。
あたふたしながら言う私とは対照的に、拓海くんはスマートにサボりの連絡を終えた。
こういうところを見ると心が痛む。
拓海くんが、当たり前のように自然に嘘を口にする姿に、改めて悲しくなるから。
「ごめんな。仕事休ませたりして」
「あ、ううん。今日は多分忙しくはないし、有給も今年入って使ってないから大丈夫だけど……。
拓海くんこそ、仕事大丈夫?」
「ああ。どっちみち、俺も有給消化できていないから、今週どこかでとるつもりだったから。
仕事は先週できるものは片づけておいたし、問題ないよ」
そう言って微笑んだ拓海くんの横顔は、いつもとどこか違って見えた。
急にサボりたいなんて言ったのは、もしかしたら少し疲れたからなのかな。
宮坂さんの事を追い詰めるために色々していたけど、拓海くん自身も追い込まれていたのかもしれない。
拓海くんは……。
もともと繊細で弱い人だから。
平気なふりをしていたけど、本当は無理していたのかもしれない。