蜜色チェーン―キミと一緒に―


「じゃあ帰るから。俺が見張ってなくてもしっかり休めよ。
社長命令なんだろ」
「……うん。ありがと」


騒がしい勇樹が玄関を開けて出ていく。
その音を聞いてから、ベッドの上で上半身を起こした。

クラクラしていた頭も、十分休養がとれたおかげかスッキリとしていた。
これなら会社に行けそうだ。

もう定時は過ぎてるし、社長も帰ったかもしれない。
社長にも勇樹にも大人しくしているように言われたのに、それを裏切るのは申し訳ないような気もするけど……。


拓海くんが今どこにいるのか。
ひとりぼっちなのか……、何を思っているのか。

それを思うと、じっとしてなんかいられなかった。


着替えを済ませて、部屋を出る準備をする。
拓海くんの部屋はもう引き払った後だったし、戻ってる可能性は少ない。
お母さんのいる実家には絶対に戻らないだろうし……。

社長の家にもきっと行かない。




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