蜜色チェーン―キミと一緒に―
そう考えると、拓海くんが行きそうな場所の検討すらつかなくて気持ちばかりが焦る。
どこにいるの……?
考えるよりも出かけようと鍵を持って靴を履いたところで、ケータイを忘れた事に気づいた。
もしかしたら、拓海くんがかけてきてくれるんじゃないかって思って、ずっと電池を切らさないように充電したままのケータイ。
ベッドの隅に置いてある充電器からケータイを取って、ポケットに入れた時。
後ろで玄関が開く音がした。
そういえば、勇樹が出て行ったまま鍵をかけてない。
“泥棒?!”とか“誰?”とか“勇樹だったら怒られる”とか。
瞬時にそんな事が頭に浮かぶ。
―――でも。
聞こえたのは、勇樹の声でも知らない人の声でもなかった。
「―――病人がどこ行くつもり?」
嘘だ。そんなハズない。
聞いた瞬間は、信じられなかった。
けど……この声を聞き間違えるハズない。
誰かなんて、振り返らなくても分かる。
ずっと、近くで聞いてきた声だから。