蜜色チェーン―キミと一緒に―
目に涙をいっぱいにためた私を見つめた後、拓海くんが目を伏せる。
「会社をクビになったら、それを区切りにしてここから離れるつもりだった。
そしたらもう、由香とも連絡を取らないつもりだったんだ」
どんどん歪んでいく瞳の向こうで、拓海くんが切なそうに微笑んだのが分かった。
呆れてるみたいで……でも、それだけじゃないような微笑みが、涙のせいでぼやける。
「なのに、社長も俺をクビにしてくれないし、由香も心配させるし、俺も……由香を最後まで突き放してやれないし。
全部が思い通りにいかない。……なんでだろ。本当にイヤになる」
滲んでいく視界のせいで、拓海くんの表情がよく見えなくなる。
でも、疲れ切っているのは声で分かった。
玄関に立ったままでいる拓海くんに、一歩ずつ近づく。
歩く振動で、目にたまっていた涙がポロポロ頬を伝っていった。