俺が唯一愛した女


翌日..



小さな花束を持ち
ある場所へ向かう



『来たぜ、優衣…』



墓に話しかけ俺は墓前に花を置き
目を閉じ手を合わせる。



『……。』



今日は暑くも寒くもなく
心地良い風が吹いている



もうすぐ春



そんな季節を思わせる様な
穏やかで優しい天気だった。



『なぁ優衣、俺明日から仕事行く事になった…で、仕事は車関係の仕事。今日は報告に来…』



「優斗…君…?」



背後から聞こえた女の声に気付き
話すのを止めて静かに目を開ける



優衣の声!?



似てるけどまさか
絶対に有り得ない



だって優衣はもう..



『……。』



忘れかけていた
懐かしい声に頭が真っ白になって



懐かしい記憶が
鮮やかに蘇える



懲りず


今だに癒えない傷がまた疼きだす



「優斗君…よね?」



再び背後から聞こえた
声に気付いて我に返り



『そうですけ…』



俺は慌てて振り返った。

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