俺が唯一愛した女


俺は心の底から母親を憎んだ。



悲しくて苦しくて
腹立たしくて



この時



俺は心の中に蓋をした。



辛い記憶を


自分の中で何度も
思い出さない様に



ガキの頃の俺は自分の心に蓋をした。



" …行くぞ "



親父は何も言わず
渋々俺を引き取り



自分で生きろと



何も知らない
何も解らない



ガキの俺に
親父は家を与え金を渡した。



「優斗、聞いてるのか?」



『え、あ… 何だよ… 』



「お前に話す事はこれで全部だ、いい加減早く帰れ」



忌々しい過去



忘れていた過去を思い出した俺は



『解った』



それ以上何も言わずに
無言で部屋を後にした。

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