俺が唯一愛した女
知らなかった
親父が琢磨サンと知り合いだったなんて
だから琢磨サン卒業式の日も知ってたのか
俺の中で何とも言えない
気持ちがこみ上げてくる
「あ、小上優斗…」
『あ…』
車の影に居た俺に気付いたシンヤサン
やべっ。
盗み聞きしてた事見つかった…
親父は
何も言わず無言で
俺を見ているだけ
「悪い悪い… 待たせたな。お前の親父サンと話が弾んじゃって♪…よし、小上優斗、帰るから車乗りな♪」
『…解った』
「優斗」
親父の低い声が
車に乗ろうとする俺を引き止める。
『…何だよ?』
「お前は… 何度言わせれば気が済むんだ?俺の立場を考えて行動しろ。このクズが!!」
『……。』
「じ、じゃあ親父サンまた…」
シンヤサンは親父に軽く頭を下げると
親父を残しそのまま車を発進させた。