俺が唯一愛した女
静かな車内。
助手席に座る俺は音楽を流そうとする
シンヤサンの指を何となく見つめる。
「なあ、小上優斗…」
赤信号で車を止めたシンヤサンは
突然俺の名前を呼び優しく微笑む
『ん?』
「自動車工事やっけ?クビになった事だし… 俺と一緒に働くか?」
『クビって言うなよ… 働くってシンヤサンと!?』
「そそ♪」
『でもシンヤサンの職業って確か…』
「おう、夜のお仕事♪」
暫く沈黙。
そんな中車の外の街並みは
どんどん見覚えのある
景色に変わって行く。
『冗談じゃ…』
「向かないと思えば即辞めればいい… 何より、もしかしたらお前が無くしたモン見つかるかもしれんで?」
『俺が無くしたもの?…何だそれ?』
俺を見て優しく微笑むシンヤサン。