俺が唯一愛した女


なんだかんだでシンヤサンの車は
俺のマンションの前で停車する。



『……。』



「まあ安心して♪無理に俺の所で働けとは言わねえし。とりあえずどうするかだけまた返事待ってるから」



『解った。送ってくれてありがとうな…』



「おうよ♪…小上優斗、もうバカな事すんじゃね-ぞ!」



シンヤサンと別れた俺は
そのまま自分の家に入る。



鍵を開け


部屋へ入ると同時に
一気に来る体の疲れ



『あ~自分の部屋が一番落ち着く…』



うつ伏せでベッドに倒れた俺は
ゴミ箱に入っている茶封筒に視線が行く



『……。』



卒業式の日親父がくれた
入学案内のパンフレット



『大学か…』



俺は駐車場で聞いた
親父の言葉を思い出す。



あれは紛れもなく親父の本音



『……。』



親父の事は今でも
変わらずに嫌いだ



その半面



少しずつでも


自分の親父として
信頼して行きたい



言葉って凄いよな



たった一言の言葉でも
時には人を救い時には苦しめる



言葉は単純な物。



なあ親父
お前のお望み通り大学行ってやるよ。



大学入って医学でも
何でも勉強してやる。



色々考えた結果



大学へ通いながら
俺はシンヤサン所で働く事にした。

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