俺が唯一愛した女


「千夏チャン~カラーとセットもよろしく」



「はいはい、聖夜サン♪」



改めて見るとボサボサで
無造作に伸びた俺の髪。



そう言えば


髪切りに来んのって去年の12月以来か



『……。』



カットとカラーが終わり
あっという間に3時間後



「……。」



鏡越しに俺を見て黙り込む千夏サン。



『…どうかしました?』



「い、いえ…//」



変な女…
真っ赤になる千夏サン



「シキ~どう?終わ…」



俺を迎えに来た聖夜サンまでもが
言葉を失いまじまじ俺の顔を見る



『何だよ…?』



「いや、人間…髪型を変えるとこんなに雰囲気が変わるとはな…」



『は?』



「シキ!お前がこんなに良い男だったとは…じゃ、次行くぞ、ありがとな千夏チャン♪」



『行くってどこに…』



「ずべこべ言わず着いて来い!あ、千夏チャンお代はおいとくから!」



そう言って


万札を数枚レジに置いた聖夜サンは
俺の腕を掴み店を出た。




『聖夜サン、だから引っ張んなって…』



「あ、ありがとうございましたー!」

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