俺が唯一愛した女


「あの、手…」



『あ、ごめん!』



俺は重なった手を慌てて離す。



『「……。」』



何となく気まずい
そんな雰囲気の中



女が先に口を開く



「えと、あたし…別の本探すので良かったら先に読んでください」



『おう、サンキュ…』



女は


数冊の人体の本を手に持ったまま
開いてる机を探して辺りを見回す



「じゃ、失礼しま…」



『あ、あの…』



女が歩き出したその時
俺は何故か女の腕を掴んでいた



「えっ、え…?」



知らない俺に腕を掴まれて
女は滅茶苦茶驚いてる様子



『…何か調べてんの?』



「脳の事を…ね」



女はそう言って俺に
優しく微笑みかける



けど



優しく笑うその笑顔は
どことなく辛そうで..



それでもって
どことなく悲しいそんな風に見えた



『……。』



「…貴方も何か調べ物?」

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