俺が唯一愛した女
SION -Troubie past-
彰人サンの葬式が終わった数日後
『…本当に出て行くのか?』
ミユは
俺の家に置いたままの
荷物を取りに来ていた
葬式の日以来
ミユは一切泣かなくなった
いや、
未だにミユの目の腫れが
引かないみたいだから…
もしかしなくても隠れて
泣いてるのかもしれない
たまに優斗に見せる
辛そうなミユの表情は
彰人サンが死んだ日から
変わらずあの時のまま…
「うん。このままずっとお世話になるのも悪いし。…後、あたし大学辞めて働くつもりなんだ」
『悪い?別に居ても構…』
「ううん!もっとあたし自身強くなりたいから…優斗に頼ってばっかじゃいられない」
決意を決めた様な目で
穏やかに微笑むミユ。
『……。』
「優斗ありがとね!」
『…ん?』
「う…ううん、何でもない。じゃ、あたし行くね!…お世話になりました」
『元気でな…』
突然俺の唇に柔らかい感触
『な…//』
「優斗に会うまではずっとあきチャンの事が好きだったけど…優斗に会って色々知っていくうちに本当は優斗の事… 心のどこかで好きになってたみたい。…じゃあね!」
自分から重ねた唇を離したミユは
『じゃあな…』
その日を境に俺の家から出て行った。