英国喜劇リトレイス

それが何かを認識した途端、ムッとするような濃厚な匂いが鼻をついた。

よく見れば、床だけではない。

壁も、天井も、優しく微笑む先代の肖像画も、恐ろしく太い筆で殴り書きされている。

「ぅ……ゲホッ、ゲホゲホ」

松明の油と強い血の臭いに噎せて、吐き出す息に、痛い液が混ざる。


そこまできて、俺はようやく疑問を持った。


今、ここで何が起きてる――!!


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