英国喜劇リトレイス

『ディ………ゼ…ル……さ、ま……』


カレンの声がまた脳の奥に響く。


行かないと――
あいつのところに行って、手を繋いで、それから―


『ククク……!』

誰だ?

『クックック…』

ゾクッと背筋を掠める誰かの声。
なんだよ?
腹の底がふるふるする。


嫌な予感だ。



滑り湿る体を起き上がらせ、俺はまた走り出そうとした。

その足で、何かを踏んだ。

「え?」


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