「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
その時である。

レーザー照射を行なうが早いか、電子ビーム砲搭載衛星は機能しなくなり、無反応になってしまった。同時にスクリーンに映し出されている小惑星群が散って、展開を始めた・・・

まるで狼の群れの如く散開してゆく。

スクリーンを見ていた誰もが目を見張った。

瞬間、全員が言葉を失い、沈黙の中、スクリーンに映し出され、展開してゆく小惑星群、いや無機物生命体を凝視した。

仮説は現実であったのだった。

「何ということだ」・・・

スクリーンを凝視したまま李が呟いた。

通信本部にいる科学者も補佐官も軍の将校も通信員も連絡員も、スクリーンを目で追っているが、身体は硬直し、目が無機物生命体に釘付けになっている。

彼らの表情は恐怖で強張り、内面は恐れおののいていた。

李は小声で言った。

「これは、戦いである」・・・

「無機物生命体との戦争である」・・・

李は現場にいる者、全員に向かって大声で言った。

「ただいまより無機物生命体を撃破する。これは戦争である」

すぐに補佐官に指令した。

「大至急、世界各国の政府と全軍に、小惑星群は無機物生命体である。すべての生命体を撃破しなければ地球文明が終わる。ゆだんなく力の限りを尽くして戦うように伝えてくれ」
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