「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
しかし全機能を停止した漂流状態ではレーダーや通信が使えず、生命体がどこに存在するのか目視で見える範囲以内でしか発見できない。

目視で発見可能な位置に生命体が、向こうからやって来てくれる確率は、いったい何パーセントあるのだろうか、おそらくそのような方法は運だけであり、可能性は零パーセントに近いのではないか。

そんな偶然に期待していたのでは何もできないのと同じである。

常に行なわれていた攻撃演習では一番艦より順にレーザー照射を行い攻撃をしていたのであるが、それでは各個撃破されてしまう。

悩んだ末に、生命体を捕捉した場合には、四艦一斉に攻撃して、電子ビーム砲を発射後は全艦機関停止すれば、相手からの反撃があっても助かるのではないか。

少なくとも全滅は免れるのではないかと考えた。

吉里は一番艦の司令官に意見を具申して、認められ、散開していた四艦は態勢を整えてゆく。

態勢を整えていると、日本の地上配備の電子ビーム砲が機能しなくなり、一部の放送局や発電所などが、、被害を受けているようだと通信が入ってきた。

これより散開して空中待機している戦闘機隊により、生命体を小笠原海域へおびき寄せ総攻撃を開始すると言っている。

第一群艦隊は総攻撃予定の海域へ舵を切り、総攻撃に参戦するべく、急ぎ向かった。

西日本に侵入し、四国の南部を掠め、紀伊水道から近畿地方を抜け、東海地方を飛行している生命体に向かって、伊豆諸島方面から向かった戦闘機が、自動追尾型ミサイルを発射しては、伊豆諸島南方へ退避してゆく。

もちろんミサイルは生命体に届く前に落とされてしまうが、生命体はミサイルを発射した戦闘機を追いかけて、伊豆諸島南方へ移動してゆく。

その小笠原諸島近くの、伊豆諸島南方空域には六十機以上の戦闘機群が集結して待ち構えていた。
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