「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
午後六時前に始まった戦闘は、ほぼ終了した。

地球を周回する宇宙衛星などにも被害は及んでいるが、どの程度の損害を受けているのか、すぐには分からない。

しかし、使用可能な衛星や天文衛星はかなりな数が稼働可能であり、戦いの様子や状況を、ある程度は上空から観察できている。

モニターを見ていると、傷を負った生命体が逃げていく様子が映っている。

生命体は中部太平洋の西よりの上空に居座っている、ボスと思われるグループに合流しようと移動して行く。

生命体は平和維持軍による地球防衛戦闘で頑強な抵抗を受け、仲間を失い、残った生命体も多くは傷ついて逃れてゆく。

おそらく、やつらはボスと思われるグループと合流して、態勢を立て直そうともくろんでいるのであろう。

李は補佐官に大至急、全部隊の残存兵力を集計するように命じた。


およそ三十分後

補佐官が、おおまかな残存兵力を集計して報告した。

それによると、地上の電子ビーム砲は、すべて無くなり、電子ビーム砲搭載艦はヨーロッパに二隻、日本に一隻、アメリカに三隻残っている。

航空母艦は太平洋に六隻、大西洋に四隻残ってはいるものの、その搭載機は相当数がやられ、すべて合わせても数十機であろうという。

また各地の戦闘機部隊はヨーロッパ地域に四、五十機、東アジア地域にも同様に四十機程度、北アメリカ地域には、それよりはやや多い程度の戦闘機が残っていた。

その他の地域は壊滅的な損害を出しており、すべて合わせても残存戦闘機は十機を少し上回る程度である。

世界中の残存戦闘機を、すべて合計しても、せいぜい二百機にも満たないであろうと考えられた。
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