「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
不思議に思いつつ、立ち上がり電灯を点けて部屋の中を見回すと、部屋に到着して来た時のままの状態である。

理絵は、どうしたのであろうと思ったが、風呂へでも行っているのであろうかと思い、確認の為に風呂場へ行ってみたが見当たらない。

おかしいなあ・・・

と思い部屋に戻って理絵のバッグを開けてみるが、部屋に着いた時のままのようであり、トイレでもなく、いったい、どうしたのだろうと考えていて思い出した。

「そうだ、岬を見に行くって言っていたわよね」

由紀は呟いた直後不安になってきた。

まさか、まだ帰ってきていないのではないか・・・

辺りはもう暗くなってきているというのに・・・

由紀は時間を確認すると、急いで宿の人のところへゆき、理絵を見ていないか訊ねた。

しかし、宿の人は、理絵が出て行った後、帰って来ているのを誰一人目撃していなかった。

宿の人は
「今夜は宿泊客が満杯で、忙しくて目に付かなかったのかもしれなせん」

と言うが、部屋にも戻った形跡は無いし、心配である。

部屋に戻って、理絵に携帯電話を入れてみたが、応答が無い。

理絵に何かが起こったのは確実であろうと由紀は思い、由紀にとっては小惑星群が、どうのこうのと言っている場合ではなかった。

これは大変な事になったと思い、ますます不安になって、理絵を捜しに行こうと、宿の人に理由を言って懐中電灯を借りようとすると、宿の人が、外出するのは控えるように指示が出ているので、貸せませんと言い、何かあれば宿にも責任がありますので、お客様が勝手に出入りしないように、念のために玄関の鍵も掛けてありますと言う。
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