「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
それでは理絵が戻った時に、中へ入れないのではないかと由紀が問うと、宿の人は

「午後四時以降の来訪者には、玄関脇のインターホンを押すように大きく書いた張り紙を、玄関の外側に分かりやすいように貼ってあり、大丈夫です」
と言う。

しかし、娘さんが居なくなったのは大変な事態なので、すぐに警察へ連絡を取ってくれた。

宿の人が警察に電話をしてくれて、由紀が理絵の居なくなった時間や行き先を伝え、一刻も早く捜索をしてくれるように頼み込んだ。

だが、警察からの返答では、四時から外出禁止となってから後、市内の巡回や、道路の検問、重要施設の警備や巡回に人が裂かれてしまっていて、本署には十分な警察官が残っていないのだと言う。

そこで警察から至急、消防署や消防団に連絡を取り、協力を要請しますと言ってくれた。

十分ほどして市内巡回中のパトカーが来て、警察官が二名入って来た。

「消防署へ連絡致しましたが、重要施設の巡回で待機人員が減っているうえ、緊急用の人員も残しておかなくてはいかず、人が足りないそうです。そこで消防団へ至急連絡して、消防団の方々が、まもまく、こちらへ到着する手筈になっております」

と由紀に報告した。

由紀は不安で堪らない。

直を諦めろという電話があったところなのに、その上、理絵にまで何かあると、もう生きてゆけない・・・

と深刻な表情で思いつめている。

そこへ消防団員の人たちが、消防車や広報車に乗って次々と駆けつけてくれた。

どんどん集まってきて、理絵の容姿や顔立ち、居なくなった時の身に着けていた着衣などを確認して、探す場所を手分けして、捜索に向かってくれた。
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