女王様のため息



……とは言っても。

たとえ、お互いがいればそれでいい、お互いに愛し合っていればそれでいい。

心底そう思っていても、『結婚』となるとそうはいかない。

お互いの家族にも賛成してもらって、二人の未来に笑顔で参加してほしい。

だから、やっぱり明日の挨拶は大切な第一歩。

私にいい印象を持ってもらうためには身なりにも気を遣うし手土産にも心配りが必要だ。

司の家族には、アレルギーもなく、好き嫌いも大してないと聞いて、手土産に持っていけて、明日手に入れられそうなお店を考えていると。

私のスマホが鳴った。

車内で体を寄せ合っていた私達は、それでも手を絡ませあったまま。

鞄から取り出したスマホを見ると発信者は海だった。

「海?こんな遅くに珍しいな」

思わず呟いた私の言葉に、ぴくっと反応した司。

『しまった』

海の名前を口にしたことを後悔しながら、へへっと軽く笑ってスマホを耳に当てた。

海と私の関係に敏感になっている司は、この電話が気になって仕方ないんだろうな。

特に疑われる事は何もないけれど、近い距離で私を見守ってくれている海を意識しているに違いなくて、そんな司が愛しくて仕方ない。

それでも、小さく笑って何事もないように、素知らぬ振りで。

「もしもし、海?どうかした?」

軽く言ってみたけど。

『お前、いきなり結婚ってどういう事だよー』

隣で不機嫌そうにしている司がはっと驚くくらいに大きな声が車内に響いた。










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