女王様のため息
『姉貴たちに散々責められて大変だったんだぞ』

「は?責められたって、どういう……」

海が叫んでいる言葉の意味が理解できなくて、思わず首を傾げながら司を見ると、相変わらず不機嫌そうだけど、それよりも、私と同じように怪訝そうに眉を寄せていた。

『姉貴は、ずっと俺と真珠が結婚するのを期待してたんだ。
それを突然、お前は他の男連れて実家に行くなんてことするし。
俺に一応の連絡と、根回しくらいしておけよ。俺がのんびりしてたのが悪いとか、早く子供でも作っておけば良かったのにとか延々ぐだぐだだったんだ』

「はあ?こ、子供?そんなのありえないありえない。
それに、海と私には何もないって何度も言ってたのに諦めてなかったのか」

『とりあえず、俺はおやじの店に逃げてきたけど、そのうち真珠にも尋問の電話でもかかってくると思うから覚悟しておけよ』

小さく一息ついた海は、そのあとしばらく黙っていた。

電話が切れたのかなと、不安になったその時

『真珠?……結婚、おめでとう。幸せにしてもらえ』

「あ……うん。ありがとう」

勢いよく話していた海が、急に優しく穏やかな声でそう言ってくれて、一気に私の心はいっぱいになる。

海と私は、結局は色恋の何もなかったけれど、それでもそこにたどり着くまでのぎりぎりの切ない想いだけは経験した。

思い過ごしでも勘違いでもなく、高校時代のあの頃、確かに私達はお互いを大切だと、特別だと認めていたはずで、運命の何かがかみ合えば、私達は結婚していたかもしれない。

けれど。

『俺たちには、恋人未満の特別な関係ってのが合ってるな』

そう言ってくれる海の言葉が全てだ。

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